麻生建築&デザイン専門学校
卒業進級制作展2021

建築分野 卒業・進級作品DESIGN FIELD

インテリアデザイン科

環境創造みなまた~もやい直しの複合施設~

作者:

所属学科:インテリアデザイン科

コンセプト

水俣病問題から、65年たった現在でも水俣に偏見をもっている人がいる。また、水俣病で未だに苦しんでいる人もいるのが現状だ。水俣病の経験から自然環境を大切にする取り組みが多くなされてきたが、その自然と触れあえる施設がまだ見当たらない。そのうえ少子高齢化も進み、水俣の魅力を後世に伝えることができていない。 私はこの計画を通して、かつて人と人との関係、自然と人との関係が壊れてしまった水俣で、水俣病問題と正面から向き合い、人と人が支え合っていることを感じることができる複合施設を提案する。  

自然のカタチを水俣へ

“風&光” 正面にコーニス照明型の壁を一面に設け壁に隙間を設ける事により風の通り道をつくる.風が入ってくる事により、施設内の換気と屋上の農園へと風を導く。 “山” 施設内の各フロアを傾斜にすることで山を表現した。 加えて植栽等を様々な場所に配置することで山中を散策しているような気分を感じさせる。     

食育

水俣は地中海のような温暖な気候や豊かな自然から育まれた新鮮な海の幸やこだわりの山の幸が魅力な地域。 伝統的な底引き漁では、不知火海を代表する恋路カキ、アシカエビや太刀魚などの海の幸が水揚げされている。また、九州山地に囲まれ肥沃な土壌にも恵まれており、ブランド品でもあるデコポンや甘夏などの柑橘類が有名である。 そんな水俣で獲れた豊富な食材を使った料理教室やレストランがあることで観光客や地域の子供たちが地元の美味しい食材に触れつつ生活していくことができる。

環境

水俣病から環境を大切にする地域となり国の環境モデル都市として認定された。この背景には、市民の努力の積み重ねがあった。 その取り組みをこの施設のイベントスペースでアピールし訪れた人たちに水俣の良さを伝える。 また、環境の取り組み以外に水俣には潮風をうけて不知火海を望む絶景の海の温泉やノスタルジックな魅力に癒される山の温泉など観光も楽しむことができる為、その場に行きたくなる写真や映像などのイベントをこのスペースですることで水俣の良さを感じてもらう。

木育

水俣は明治より力を入れている林業の魅力も持っている。 裸足になって全身を動かし手先を使うことで、敏捷性(動作や判断の素早さ)・平衡性(身体や心の安定)・巧緻性(手先の器用さ)が鍛えられ様々な心身の発育・発達を促す。 幼児期・幼少期にできるだけたくさん体験させたい身体活動が自然とかなう環境である為、価値ある時間を体験できる。

MESSAGE

公害から学んだ知識と経験や取り組みなどを多くの方に知ってもらい、地域との繋がりも大切にすることのできる場所を作ることで訪れた人に街の様子が伝わり新たな印象が根付くような水俣になってほしいという思いを込めて作りました。
タイトルにあるもやいとは船がバラバラにならないように船と船を繋ぎ共同で作業するという意味です。
水俣病特有の内面社会や地域社会の崩壊は、簡単に元にもどるものではありません。再生への思いや考え方の違いはあっても、自らの住む地域を大事に思う気持ちは同じです。だからこそ互いの立場を尊重し、共通の目標に向かって協働するという「もやい直し」が必要なのです。
環境を守るためには何をすべきか一人ひとりが考え、行動していくことで環境を破壊することのない街をつくり続けている水俣へ行ってもらいたいです。

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